子猫を拾う３

子猫、無事里親が見つかりまして受け渡しも完了しました。

信頼している人が紹介してくれた信頼している人物なのできっと素晴らしい人格のはず。

しかもずっと猫を飼っており、現在も２匹飼っているという経験者。

幼馴染の父が獣医というこれ以上望むべきも無い条件。

きちんと働いてるし、モデルのようなイケメンだし。


思い返せば木曜日の夕方に出会い。

金曜日にシャンプーをし、ブラッシングをし、夜には引き取って頂ける人が見つかり。

土曜日に獣医に診てもらい、すっかり元気で走り回るようになり。

日曜日、引き渡し、と。


状況としては出来すぎなくらい、理想的な流れだ、それはもう文句のつけようのない。

子猫を引き渡した後はどこか寄って行こうかという気分にもならず。

和菓子屋さんだけ行った。

いくつか見繕い、会計をしようとしていると妻がこらえられず泣き始めた。

そうだね、なんなら世話を焼きすぎだと思ってたし。

もし俺が少しでも「ウチで飼う？」なんて素振りをみせたらきっと飼うと言ってただろう。

いや、もし１週間も里親が見つからなかったら俺から飼うと言い出していたかもしれない。


もの凄い人懐っこい猫だった。

近づくとゴロゴロ喉を鳴らしながら足を登ってくる。

うんしょ、うんしょ、と一生懸命。

膝の上までいき、そこからさらに登り口をぺろぺろ舐めたりする、フードに入ったり。

まるで子猫の皮をかぶった子犬。

反則的な可愛さだった。

物凄く活発で食欲も旺盛、ウンコももりもり。

きっとどこへ行っても愛されるだろう。


飼えば良かったのだろうか、と考える。

実際飼えないことはない、飼える。

そもそも里親が見つからなければ飼う気だったし。

しかしこれから保護する度、全て飼うのか。

１匹、２匹のうちはまだいいが、いつかは限界がくる。

ならば里親を探し、どうしても見つからないときのために余裕を持っているべきだと思う。

だから俺が安易に飼おうか、なんて素振りは見せるべきじゃないと思うし。

この辺に明確にラインを設定しなければいけないと思う。


そもそも俺を頼ったんだよな。

ノミだらけで満足に動くことも出来なかったのが。

どんどん回復していってさ、そりゃ可愛くないわけがない。

白状すると意識して会う時間を減らしてたくらいだ。

期待に応えられただろうか。


日曜日の午後は静かに過ごした。

嬉しいし寂しい不思議な感情。